動画編集の業務委託契約書

動画編集の契約は、基本契約と案件ごとの発注書の二段構えが基本です。個別契約がいつ成立し、食い違ったときにどちらが優先するかを最初に決めます。

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チャットの「お願いします」の一言で作業を始めると、本数・納期・報酬が決まらないまま成果物だけが先に進むことがあります。

このページの要点

  • 個別契約は発注に対する承諾で成立させ、着手を承諾とみなすときも異議の余地を残す。基本契約が優先し、明示した場合だけ個別契約が優先すると書く。
  • 業務に含むもの、目的の達成に合理的に必要な作業、当初の仕様を超える追加作業、発注者が担当する手配を書き分ける。
  • 支払期日の起算点は給付を受領した日。支払が遅れたときの履行の停止と解除を基本契約に置く。
  • 基本契約を解約しても成立済みの個別契約は残し、出来高・実費・避けられない費用で精算する。通知の方法と到達の時期も決める。

結論:基本契約と個別契約の「つなぎ方」を最初に決める

動画編集の仕事は、企業やYouTuberなど同じ発注者と長く付き合い、案件ごとに尺(動画の長さ)・本数・納期が変わるのが普通です。そのため、動画編集・動画制作の契約は「基本契約を1通結び、案件ごとの条件は発注書や見積書とその承諾で決める」という二段構えにすることが多くなります。案件ごとの発注書・見積書と承諾で成立する契約を、ここでは「個別契約」と呼びます。

二段構えで最初に決めておくのは、個別契約がいつ成立するのかと、基本契約と個別契約の内容が食い違ったときにどちらが優先するかです。ここがあいまいだと、チャットの一言で作業が始まったり、発注書に書かれた条件で基本契約の定めが黙って変わったりします。

そのうえで、次の4点を契約書に落とします。

  1. 個別契約の成立の手順(発注、承諾、着手の順序と、承諾がないまま着手したときの扱い)。
  2. 業務の範囲(基本の業務に含むもの、目的の達成に合理的に必要な作業、当初の仕様を超える追加作業、発注者が担当する手配)。
  3. 支払期日の起算点と、支払が遅れたときに受注者がとれる手段。
  4. 基本契約を終わらせるときの個別契約の精算と、通知の方法。

修正回数と検収は修正回数と検収のページ、納品物の範囲とデータの保管は編集データ・プロジェクトファイルのページ、完成した動画の著作権は動画制作の契約書と著作権のページで詳しく扱います。このページでは、基本契約の骨組みに絞ります。

個別契約は「発注→承諾→着手」の順で成立させる

地域のスポーツ教室から動画の企画・撮影・編集を受ける個人の基本契約(受注者側)では、個別の業務の内容・仕様・数量・納期・報酬額・支払条件を、発注書、業務仕様書、見積書、電子メールなどで定めることとし、発注に対して受注者が書面又は電磁的方法で承諾した時に個別契約が成立する、としました。受注者が着手したときは承諾したものとみなしますが、合理的な期間内に異議を述べたときは除きます。個別契約の変更や追加は、双方の書面又は電磁的方法による合意がなければ効力を生じません。

優先関係は、基本契約の定めが個別契約に優先し、個別契約で基本契約と異なる定めをしてその旨を明示したときに限り個別契約が優先する、という形にしています。発注書に細かな条件が書かれていても、基本契約を変える意思が明示されていなければ、基本契約で決めた修正回数・検収・責任の範囲は動きません。

条文例基本契約 第◯条(個別契約の成立)

1個別業務の内容、仕様、数量、納期、報酬額、支払条件その他の具体的な条件は、発注書、業務仕様書、見積書、電子メールその他当事者間で合意された書面又は電磁的記録(以下「発注書等」という。)により定める。

2個別契約は、甲が発注書等により個別業務を発注し、乙が書面又は電磁的方法により承諾の意思表示をした時に成立する。

3乙が個別業務に着手したときは、前項の承諾をしたものとみなす。ただし、乙が合理的な期間内に異議を述べたときは、この限りでない。

4本契約の定めは、個別契約に優先する。ただし、個別契約において本契約と異なる定めをし、その旨を明示したときは、当該個別契約の定めが優先する。

甲=発注者、乙=受注者。地域のスポーツ教室から動画制作を受ける個人の基本契約の定めを、条文例の形に整理したものです。

委託する側でも、同じ順序が大切です。映像制作会社のフリーランス向け契約(委託者側)のレビューでは、受注者の承諾で個別業務が成立する書き方自体は適切と評価したうえで、制作の現場では電話やチャットの一言で作業が始まりがちなので、「発注→承諾→作業開始」の順序を運用として徹底するよう伝えました。フリーランス法の取引条件の明示(同法3条1項)は電子メールやチャットでも行えますが、公正取引委員会・厚生労働省のQ&Aは、クラウドサービスなどを使う場合はメッセージの削除や閲覧の環境の変化に備えて、発注する側と受ける側の双方でスクリーンショットなどにより発注の内容を保存することが望ましいとしています(Q&A問41)。電磁的方法で明示した後に受ける側から書面の交付を求められたときは、原則として遅滞なく交付しなければならないので(同法3条2項)、その対応の手順も社内で決めておきます。

ヒヤリングで確かめること 個別契約の手順を決めるとき

聞くこと

聞く理由

発注は、発注書・メール・チャットのどれで届きますか。履歴はどちらの側でも保存できますか。

チャットツールによっては一定期間で履歴が見られなくなるものがあり、発注の内容を後から示せなくなるためです。

発注のたびに、給付の内容・報酬の額・支払期日がそろっていますか。

どれかが欠けると、成果物だけが先に進み、報酬や納期を後から争うことになります。

承諾を返してから作業を始める運用にできますか。急ぎの案件はどう扱いますか。

着手を承諾とみなす定めを置くなら、条件に納得できないときに異議を述べる期間も決めておきます。

発注書の条件が基本契約と違ったら、どちらを優先させたいですか。

基本契約を優先し、明示した場合だけ個別契約が優先する形にするかを決めます。

業務の範囲:含むもの・含まないもの・発注者の担当を書き分ける

動画編集で多いすれ違いは、「それも頼んだ範囲に入っていると思っていた」です。先のスポーツ教室の基本契約では、業務の例として、企画立案・構成設計・台本作成、撮影(機材選定、撮影設営、撮影実施を含む)、映像と音声の編集・加工・仕上げ、サムネイル制作、ナレーション収録、テロップ・効果音・BGM・映像エフェクト、AI音声その他AI生成素材の選定と挿入を列挙し、具体的な内容・本数・納期は個別契約で定めることにしました。そのうえで、個別契約に明示がなくても目的の達成に合理的に必要な作業は業務に含む一方、当初に合意した仕様を超える追加作業は修正・追加作業の条で扱い、ロケ地や出演者の手配など個別契約で発注者の担当とされた事項は業務に含まない、と書き分けています。

反対に、撮影だけを受ける業務委託契約の例では、業務は動画ファイルの撮影のみで、撮影後の切り貼り、トリミング、音声調整、色調補正、エフェクトの挿入、字幕・テロップの追加、BGMの挿入、フォーマットの変換などの加工は一切含まないとし、編集を求められたときは別に契約書又は覚書を結んで、作業内容・報酬・納期を決めてから応じる、と定めていました。「撮影のついでに少し編集も」という依頼を、別の取引として切り出すための条です。

業務の範囲の書き方(事務所の書類から)

契約含むもの含まないもの・別扱い
動画制作を受ける個人の基本契約(受注者側)企画・構成・台本、撮影、編集、サムネイル、ナレーション、テロップ・BGM・エフェクト、AI音声の挿入。目的の達成に合理的に必要な作業当初の仕様を超える追加作業(別の条で扱う)、ロケ地・出演者の手配など発注者の担当とされた事項
撮影だけを受ける業務委託契約動画ファイルの撮影撮影後の編集・加工の一切。求められたら別の契約書又は覚書で条件を決める
SNS運用代行会社の外注契約(委託者側)職種ごとの業務仕様書に列挙した業務実際に依頼する項目は個別発注書で指定する

「含まないもの」を書いておくと、追加の作業を頼まれたときに、別料金の話を切り出す根拠になります。修正と追加作業の線引きは修正回数と検収のページで扱います。

月額制のショート動画編集で決めること

縦型のショート動画の編集を月額で受ける個人の契約では、月10本・月8本などのプランを契約時に確定させ、正式な契約の前に試用期間として数本を納品する形にしました。この契約で特徴的だったのは、品質の基準の置き方です。品質を「契約締結前に提示した、受注者自身が運営するアカウントの過去の投稿物に準拠する」と定め、「思っていた雰囲気と違う」という主観的な争いが起きにくいようにしました。

ヒヤリングで確かめること 月額制の編集契約を作るとき

聞くこと

聞く理由

月の本数は固定ですか、プランの選択制ですか。未消化分は翌月に繰り越しますか。

本数が契約の中心なので、増減と繰越しの扱いを決めておかないと、月末に「あと何本」の争いになります。

品質の基準として示せる見本(過去の投稿など)はありますか。

見本を基準にすると、修正の要否を客観的に判断しやすくなります。

撮影も引き受けますか。引き受けるなら、回数・場所・加算額・交通費はどうしますか。

試用の契約では、撮影は初回に限り、一定の地域内で、所定の加算額と往復の交通費を請求できる形にしました。

分析レポートや投稿の代行など、編集以外の業務も含めますか。

編集の契約に運用の業務を混ぜると、成果や分析の責任まで問われやすくなります。

この契約の修正版では、前提事実の変更として、業務内容から「アカウント運用に関する分析レポートの作成及び提出」を削除しました。依頼者が提供しない業務になったためです。編集の契約に分析や運用の業務が入っていると、SNS運用代行の契約と同じように「成果が出ない」ことを理由に責任を問われやすくなります。同じ契約では、再生回数・閲覧数・フォロワー数の増加、収益の向上、いわゆる「バズ」と呼ばれる拡散の発生を保証しない旨を置いています。YouTubeチャンネルの運営まで引き受ける場合の設計はYouTubeチャンネル運営代行と収益分配のページで扱います。

月額制では、途中でやめるときの扱いも決めておきます。この契約では、やむを得ない事由で解除するときは1か月前までに書面又は電子メールで通知し、解除する月の分の対価は、その月の業務を終えたかどうかにかかわらず全額支払う、委託者の都合で中途解約するときは3か月分に相当する報酬を違約金として支払う、と定めました。受注者は月の本数に合わせて作業の時間を確保しているので、急な解約で生じる損失を、事前に金額で決めておく趣旨です。事業者どうしの契約では違約金は賠償額の予定と推定されますが(民法420条3項)、実際に生じる損失とかけ離れた額は争われやすいので、なぜその額なのかを説明できるようにしておきます。

支払期日の起算点と、支払が遅れたときの手当て

支払期日の起算点について、フリーランス法(正式には「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」)4条1項は、従業員を使用する発注者など「特定業務委託事業者」(同法2条6項)が個人のフリーランスなどに委託したときの報酬の支払期日を、給付を受領した日から数えて60日以内の、できる限り短い期間内に定めるよう求めており、検査をするかどうかで起算点は変わりません。60日を超える定めをしたときは、受領日から起算して60日を経過する日が支払期日とみなされます(同条2項)。下請法を改正して2026年1月1日に施行された取適法の対象となる取引でも、検査の有無にかかわらず、起算点は給付を受領した日です(同法3条1項)。公正取引委員会・厚生労働省のフリーランス法Q&Aは、電子メール等で動画などの情報成果物を受け取る場合の受領日を、発注者のパソコン等に記録された時点としています(Q&A問45)。

なお、「月末締め翌月末払い」については、フリーランス法の運用上、月によっては受領日から61日目又は62日目の支払になることがあっても、「受領日から60日以内」を「受領日から2か月以内」として扱うため問題としない、と同じQ&Aに示されています(Q&A問48)。ただし、従来より遅い支払期日を、法律が60日としていることだけを理由に新たに設定することは、「できる限り短い期間内」とはいえず問題になるとされています(Q&A問49)。

先のスポーツ教室の基本契約(受注者側)では、月末締め翌月末払いとし、支払方法に振込のほか現金を加え、振込手数料は発注者の負担としました。そのうえで、支払が遅れたときに受注者がとれる手段を、次のように条文にしています。

条文例基本契約 第◯条(支払の遅延)

1甲が支払期日までに報酬を支払わないときは、乙は、催告を要することなく、本業務の全部又は一部の履行を停止することができる。この場合において、停止により生じた納期の遅延その他の不利益について、乙は責任を負わない。

2甲が支払期日を30日以上経過してもなお報酬を支払わないときは、乙は、書面又は電磁的方法による通知により、個別契約の全部又は一部を解除することができる。この場合、乙は、既に履行した部分に対応する報酬及び発生済みの実費を請求することができる。

3甲は、乙の書面による承諾がない限り、本契約に基づく報酬債務と甲が乙に対して有する他の債権とを相殺してはならない。

受注者側の基本契約の例です。支払が止まっても作業を続けるしかない、という状態を避けるための条です。

委託する側では、支払の運用で法律に触れないよう注意します。映像制作会社の契約のレビューでは、検収の完了期日を定めていなくても支払期日は受領日から数えるので、「検収が終わっていないから支払わない」という運用は支払遅延になること、振込先の口座の指定と変更の手続を契約に定め、変更の連絡は電話などで本人に確かめる運用にすること(なりすましのメールで口座の変更を求める手口に備えるためです)を伝えました。また、フリーランス法の運用では、特定受託事業者の口座に振り込む際の手数料を報酬から差し引くことは、合意の有無にかかわらず報酬の減額に当たるとされています(Q&A問78。受託者の都合で振込先を変えたことによる手数料の増額分などは、受託者に負担させることが認められます)。減額の禁止は、特定業務委託事業者が1か月以上の期間行う業務委託に適用されます(同法5条1項2号)。

このほか、事務所の書類では、支払と契約上の地位について次のような条を置いてきました。

  • 報酬の額は消費税込みで示し、受注者が適格請求書発行事業者の登録を受けているかどうかで減額しない、と定める(委託側の基本契約の例)。
  • 受注者が法人を設立して事業を引き継ぐときは、発注者の事前の承諾なく契約上の地位を承継させられる。効力の発生日と承継法人の名称・所在地を通知し、承継前の債務は受注者と承継法人が連帯して責任を負う(受注者側の契約の例)。

ご質問と回答 支払の条で寄せられた質問

遅延損害金を年14.6%と定める条は、置いておく必要がありますか。

任意の条項なので、削除しても法律上の問題はありません。もっとも、年14.6%は消費者契約法が消費者の支払遅延について上限とする率(同法9条1項2号)と同じで、契約書で広く用いられている水準です。置いておくことで支払期日を守ってもらう意識づけになり、対外的な信頼性も示せる、と回答し、依頼者の判断で維持しました。

支払期日が土日祝日に当たったら、前倒しですか、後倒しですか。

どちらでも定められますが、書いておかないと毎回の確認が必要になります。受託者の保護を重視するなら直前の営業日、一般の取引慣行に合わせるなら翌営業日です。委託側の依頼者の案件では翌営業日を選びました。

受注者自身が編集の一部をほかのフリーランスに外注するときは、今度は受注者が発注する側になります。その場合の義務と契約の作り方はカメラマン・編集者に外注するときのページで扱います。

基本契約を終わらせるとき:個別契約の精算と通知

継続の取引では、基本契約そのものを終える場面も決めておきます。先のスポーツ教室の基本契約では、双方とも1か月前までに書面又は電磁的方法で通知すれば、理由を問わず基本契約を将来に向かって解約できるとしつつ、すでに成立している個別契約は履行が完了するまで存続させました。解約の時点で終わっていない個別契約は、受注者が履行した部分の出来高に応じた報酬、外注費・機材費などの発生済みの実費、解約によって避けられない合理的な費用で精算します。発注者の都合で個別契約を途中で解約するときは、これに加えて未履行部分の利益に相当する額を請求できますが、代わりの案件を受けて避けられた利益は差し引きます。

この精算の基準は、民法の考え方を具体化したものです。請負では、注文者は仕事の完成前ならいつでも損害を賠償して契約を解除でき(民法641条)、準委任では、各当事者はいつでも解除できますが、相手方に不利な時期に解除したときなどは損害を賠償しなければなりません(民法651条)。動画制作は、編集の部分が請負、撮影の部分が準委任に近いことが多く、どちらの規律になるか迷う場面を、契約の精算の基準で埋めておくわけです。撮影日のキャンセル料は撮影の料金とキャンセル料のページで扱います。

基本契約の終了の定め(事務所の書類から)

契約解約の予告終了時の扱い
動画制作を受ける個人の基本契約(受注者側)双方とも1か月前までの通知で、理由を問わず解約できる成立済みの個別契約は履行完了まで存続。未了分は出来高・実費・回避できない費用で精算し、発注者都合の途中解約は未履行部分の利益相当額を加算
サービス提供会社を通じて映像制作を受ける個人の契約3か月前までの通知で、将来に向かって解除できる履行済みの業務の委託料、成果物の扱い、秘密保持、知的財産権、損害賠償の定めは存続。提供された資料・データは返却又は破棄し、破棄したときは証明書を出す
縦型ショート動画の月額契約(受注者側)やむを得ない事由による解除は1か月前までの通知解除月の対価は全額。委託者都合の中途解約は3か月分相当の違約金

終了の場面で意外に揉めるのが、通知が届いたかどうかです。映像制作会社の契約のレビューでは、契約書に通知の条がなく、解除の通知をどこへどの方法で送れば届いたことになるのかが決まっていない点を指摘しました。意思表示は、その通知が相手方に到達した時から効力を生じます(民法97条1項)。チャットを送っても既読にならない、メールに返信がない、という状態では、到達の時期が争われ、報酬の支払の範囲、データの返却の時期、フリーランス法の30日前の予告(同法16条1項)の起算点まで揺らぎます。通知先のメールアドレスを契約書に記入する欄を設け、変更の届出の義務を置くよう勧めました。

条文例基本契約 第◯条(通知)

1本契約に基づく通知、請求、承諾、解除その他の意思表示(以下「通知等」という。)は、当事者があらかじめ指定した電子メールアドレス、電子契約サービスその他の情報通信の技術を利用する方法により行うことができる。

2前項の通知等は、相手方に通常到達すべき状態で送信された時に、相手方に到達したものとみなす。ただし、送信者が送信の後に送信のエラーその他の事実を認識したときは、この限りでない。

3通知等に用いる連絡先を変更するときは、あらかじめ書面又は電子メールにより相手方に通知する。

4本契約の解除、損害賠償の請求その他の重要な通知は、原則として書面(電子署名を付したものを含む。)により行う。

サービス提供会社を通じて映像制作を受ける個人の契約の定めを、条文例の形に整理したものです。

解除の条の書き方にも落とし穴があります。同じ映像制作会社の契約のレビューでは、無催告解除の条が「相手方に次の事由が生じた場合、相手方は解除できる」と書かれ、一文の中で「相手方」が違反した側と解除する側の両方を指しているため、文言どおりに読むと違反した側が解除できる条になっている、と指摘しました。冒頭に「甲又は乙は、」と解除する側の主語を置けば解消します。

動画編集の業務委託契約で起きがちなこと

よくあるご質問

動画編集の契約書は、案件ごとに作り直す必要がありますか?

継続して取引する発注者とは基本契約を1通結び、案件ごとの条件は発注書や見積書とその承諾(チャットでも可)で決める二段構えが実務的です。発注書には、給付の内容、尺と本数、納品形式、無償修正の回数、報酬、納期、支払期日を書きます。

発注書の条件が基本契約と違うときは、どちらが優先しますか?

契約の書き方しだいです。基本契約に「基本契約の定めが個別契約に優先し、個別契約で異なる定めをしてその旨を明示したときに限り個別契約が優先する」と書いておくと、発注書の記載で基本契約が黙って変わることを防げます。

チャットで依頼を受けて作業を始めたら、契約は成立していますか?

着手をもって承諾とみなす定めがあれば、成立したと扱われることがあります。承諾を返してから着手する運用にし、着手を承諾とみなすなら、条件に納得できないときに合理的な期間内に異議を述べれば除かれる、と書いておきます。

月末締め翌月末払いは、フリーランス法に違反しますか?

フリーランス法の運用では、受領日から60日以内という規定を受領日から2か月以内として扱うため、月末締め翌月末払いは問題としないと公正取引委員会・厚生労働省のQ&Aに示されています。起算点は検収の日ではなく給付を受領した日です。

報酬の支払が遅れているとき、作業を止めてもいいですか?

契約に「支払が遅れたときは催告なく履行を停止でき、停止による納期の遅れの責任は負わない」と書いておけば、止める根拠になります。30日以上の不払いで個別契約を解除し、既に履行した部分の報酬と発生済みの実費を請求できる、と定めた例もあります。

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